2013年4月22日公開
 
ども達のいきる力を育てたい」という理念に強く共感
-今回、スマートエデュケーションのために作品を提供しようと思われたきっかけは何ですか? ここ数年スマートフォンやタブレットが急速に普及し、子ども達にとっても、新しいデジタルデバイスを使って遊んだり学んだりすることが当たり前となる時代がいよいよやって来ました。
そんな中「子ども達のいきる力を育てたい」という理念を掲げて活動をしているスマートエデュケーションさんの思いに強く共感し、是非一緒に、これからの時代を生きる子どもたちのために新しい作品を作ってみたいと思いました。
また、タブレット向けの絵本といっても、紙の書籍をベースに考えるアプリとは違い、「スマートフォンやタブレット端末の可能性を最大限に追求する」というコンセプトにも興味をおぼえました。
-今回、「はじめてのえほん」シリーズ第一弾として、「クレヨンちゃんなあに?」、「いないいないだあれ?」、「しゅっぱつ!はっしゃ!」の3作品の原案・監修をされましたが、実際に作品を作ってみての感想はいかがですか? 実はアプリ向け作品の制作は今回が初めてではないのですが、正直に申し上げて、我々の世代にとってタブレットやアプリというものはなかなか縁遠く、まずは「タブレットとはどういうものか、アプリとはどういうものなのか」を理解するところから始めなければなりませんでした。「一体どんなことができるのだろう?」と探りながら、一つひとつ進めていった感じです。
ただ、知れば知るほど奥が深いものだと感じ、まだまだ色々なことができるなと思っています。
-今回は生後8ヶ月から2歳向けという、とても小さなお子様向けの作品となりましたが、赤ちゃん向けのアプリを制作するにあたって、最も優先しなければならないのはどんな点だとお考えですか? どんな構成にするか、どんな音を使うかなど、大切にしなければならない要素は色々とありますが、中でも「絵」が非常に重要なのではないかと思います。
大人でも絵本を選ぶときにパッと見て絵にインパクトがあれば手に取りますが、絵に魅力がなければ中身をもっと見てみたいとは思わないですよね。赤ちゃんはより感覚的なぶん、「絵」の存在が非常に大きいと思っています。映像の力も絵と同じくらい大きいと思います。
ただ、最も気をつけなくてはならないことは、決して大人の価値観で判断するのではなく、赤ちゃんがどういうものに興味をもって、何を面白がるのか、どういう動きをするのかをしっかりと考えながら作るということです。
制作する側は色々な思いをもって作品を作るわけですが、実際にアプリを使うのは赤ちゃんです。大人の意図した通りに楽しんでくれるかどうかは、自分たちの頭の中で考えただけではわからないですよね。特にタブレットやスマートフォンはメディアそのものも新しいので、赤ちゃんの反応が想像しづらく、「やってみないとわからない」という思いが、自分の中でとても大きくありました。
「実験」というわけではないですが、一つひとつ丁寧に試しながら、「赤ちゃんにとって本当に良いものはどんなものなのか?」ということを最優先に考えて、作品を作らなければならないと思っています。

「はじめてのえほん」の楽しみ方

アプリ「おやこでスマほん」を、まずは無料ダウンロード。起動すると、中の本棚に「はじめてのえほん」がラインナップされています。
きむらゆういち 造形教育の指導、テレビ幼児番組のブレーンなどを経て、絵本・童話作家に。現在は戯曲・コミックの原作や小説、映画制作など幅広い活動を行なっている。
『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞受賞。500冊以上の著書は国内外の多くの子どもたちに親しまれており、中でも1988年にスタートした『ごあいさつあそび』に始まる「あかちゃんのあそびえほん」シリーズは累計部数1,100万部を超えるベストセラーとなっている。

きむらゆういち公式ホームページ
代は変化するもの。その時代の中で「いかに良いものを選び、触れていくか」が一番大切
-きむら先生はこれまでたくさんの「しかけ絵本」を出されていますが、今回のアプリ向け作品は「しかけ絵本」やテレビなどの他のメディアと比べると、どれに近いと思われますか? アプリは「読者の参加性」がとても強いメディアだと思います。紙の絵本だと「作者の気持ちをどうやって伝えるか」という一方通行のものが多いですが、タブレットはインタラクティブですよね。そういう意味で言うと、私にとってアプリは「絵本」と「おもちゃ」の間に入るイメージです。
今回のアプリ向け作品では、作者の意図やストーリーを表現しつつ、赤ちゃんが能動的に遊ぶことができるというタブレットの性質を存分に活かせた、良い作品を作ることができたと思っています。
これまで私が作ってきた紙の「しかけ絵本」も、どちらかというと「おもちゃ」に近いかもしれません。
文学的な絵本とおもちゃのような絵本を比べて、「文学性があるものの方がおもちゃよりも質が高い!」という見方をする人もいますが、それはあくまで大人の基準であって、子どもにとっては実は優劣なんてないのですよね。今、子どもの周りには積み木、絵本、ゲーム、テレビなど、色々なものがあふれています。大人は「ゲームなんて!」と思うかもしれませんが、子どもにとっては面白ければどれも同じ。どんなものからも色々なことを学んで成長していくことができるのが、子どもの素晴らしいところだと思います。

-今後、スマートフォンやタブレットがどの家庭にも必ずあるという時代が来ると、子どもたちは生活の一部として、こういったデバイスに触れていくことになるかと思いますが、この点についてはどう思われますか? 時代の変化というものは本当に凄くて、今、僕が若い頃は想像もしなかったような世の中になっています。紙からデジタルへと媒体が進化し、今や親子で絵本を読むのと同じような感覚で、親子一緒にアプリを使って遊ぶ時代です。どんな時代であっても「親子で一緒に遊ぶ」ということが大切であって、そういう意味では、紙の絵本もアプリもあまり変わらないのではないかと思います。
媒体が紙からタブレットになることへの抵抗感は当然あるかもしれません。ただ、僕より前の時代は「本なんて読んでいる暇があったら仕事しろ、家を手伝え」という時代でした。その次に「漫画なんて読んでいないで、本を読め」という時代が来て、今はその漫画で育った親が「ゲームなんてしていないで、漫画でもなんでもいいから本を読め」という時代です(笑)。
価値観は次々に変わっていくものなので、今は「そんなアプリを見るよりも、本を読め」という時代だったとしても、次の時代には「そんなことしないでアプリを見ろ」という時代がくるかもしれませんよね。
昔テレビが登場したときには、ラジオは滅びると言われていました。確かにテレビが主流にはなっていますが、ラジオはラジオでずっとあります。それと同じように、タブレットが登場したからといって、紙の絵本がなくなるわけではありません。
「アプリを赤ちゃんのときから与えるのはどうか」という人もいるかもしれませんが、どう頑張っても個人が時代の変化には勝つことはできないので、「その時代の中でいかに良いものを選び、触れていくか」を考える方が重要だと思います。
今の時代の価値観がずっと正しいわけではありません。新しいメディアを頭から拒否するのではなく、上手く付き合っていく方法を考えていくべきではないでしょうか。私自身も、作家として、どんなメディアに対しても自分のイメージを伝えていけるようになりたいな、と思っています。
んなの絵本では見たことない!!」というアイディア満載のアプリを作ってみたい
-今後、タブレットアプリの分野で何か挑戦してみたいことはありますか? 「タブレット向けの絵本」という分野でいうと、2つの考え方があると思っています。1つは「既存の紙の絵本をアプリにする」という発想。そして2つ目が「今の絵本にはないものをアプリとしてつくる」という発想です。
最近色々なアプリをみていますが、タブレット向けの絵本では、やはり既存の紙の絵本が発想のもとになっているものが多いのではないかと思います。もちろん、タブレットならではの操作性やインタラクティブ性を活かした面白い作品は沢山あります。ただ、私自身がこれまで色々な絵本を作ったり、多くの作家さんの絵本に触れてきたりしたうえでアプリを見ると、やはりどこかに紙の絵本の発想を感じてしまうのです。そういう意味では、まだまだこの分野は黎明期なのかな、と思います。
もちろん既存の絵本でデジタルにしたら面白いものは沢山あり、もっと発展していく可能性があると思うのですが、「こんなの絵本では見たことない!!」という発想でアプリを作ることができたらいいな、と思っています。
今、アニメーションや映像作品が本になったり、漫画作品が映像になったりと、メディアを横断して人気を集める作品が多いと思うのですが、アプリ発の作品が本や漫画や映像になるというケースはまだないですよね。
もちろん既存の絵本の発想を、デジタルでより豊かに表現するということにも挑戦していきたいと思いますが、他のメディアにも影響を与えるほど斬新で面白いアプリというものを、もっと考えていかなくてはいけないのかな、と思っています。まだ具体的な発想は浮かんできてはいませんが、勉強をしながら「アプリ発!」の未来を作っていけたらいいなと思います。
取材後期
我が家の2人の息子たちは、「はじめてのえほん」に登場する“らいおじさん”が大好きです。「きみ、いくつ?」という“らいおじさん”の問いかけに、いつも「3歳!」、「6歳!」と元気よく答えています。(アプリの対象年齢よりはだいぶ年上ですが・・・。)
アプリに話しかけられるという体験は子どもたちにとっては今回が初めて。“らいおじさん“と子どもたちのリアルな会話は感動的な可愛さです(笑)。
きむらゆういちさんの「いないいないばああそび」や「いただきますあそび」は、子どもたちがまだ赤ちゃんのときに、何度も何度も読み聞かせた思い入れの強い作品です。そんなきむらさんが今回このような新しい分野での作品づくりに挑戦して下さったことをとても嬉しく思うとともに、これからも素晴らしい作品を作り続けてほしいな、と思いました。
まだ「はじめてのえほん」で遊んだことがないという方は、アプリ「おやこでスマほん」の中で、お子様と“らいおじさん”の可愛い会話を是非、体験してみて下さい!
取材&文:大澤 香織 フリーランスライター。6歳男子+3歳男子の母。これまで塾や幼児教室の講師を経験するなど、「教育」に強い興味あり。絵本大好き&子どもと歌を歌うのが大好きで、家族そろってスマートエデュケーションの知育アプリのファン。
 
 

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