2013年5月14日公開
 
来を生き抜く力」を身につけるために
-スマートエデュケーションのアプリを導入しようと思われたきっかけについて教えて下さい。 スマートエデュケーションさんから、「『保育×IT』をテーマにした協同プロジェクトを発足し、学術機関の協力のもと、保育現場でタブレット端末とアプリの導入効果検証をしていきたい」というお声をかけて頂きました。 当社としても、子どもたちの「未来を生き抜く力」を育む上で「保育×IT」という分野には大きな可能性があるだろうという思いがあり、是非協力させて頂きたいと思いました。
昨今、保育業界だけではなく教育業界全体で「子どもたちの『生きる力』を育むために何をすべきか」ということが大きなテーマとなっています。

「生きる力を育てる」というと、例えば農業体験などの自然体験や、キャンプなどの活動などを思い浮かべるかもしれませんが、私自身はそれだけでは十分ではないと感じています。というのも、本当の意味での「生きる力を身につける」ということは、「『目の前の今』を生きる」だけではなく、「『未来』を生き抜く力をつける」ことだと思うからです。
今の子どもたちが大人になったとき、社会はどのようになっているでしょうか。恐らく「IT」は今以上に、避けることのできない大きな存在として、社会の中心となっているに違いありません。
保育業界では「ITの活用」に関してネガティブな印象がないわけではありませんが、今と昔では生き抜くために必要なツールは大きく変化しています。ITはその代表的なものであり、『未来』を生き抜くための武器といっても過言ではありません。
もちろん導入の仕方についてはしっかりと検討する必要はありますが、昔ながらの価値観や先入観だけでITを排除してしまっては、子どもたちのチャンスを奪うことにもなりかねません。むしろIT教育に積極的に取り組むことで、正しいITリテラシーを育むこと、「未来を生き抜く力を備えた人」をしっかりと育てていくことの方が重要なのではないかと感じています。
-コビーさんのホームページはとても充実していて、保護者に向けて園の様子やニュースをブログで発信するなど、積極的にITを活用されている印象を受けます。今現在も保育現場にITを取り入れていらっしゃるんでしょうか? はい。これまでも子どもたちが過ごす部屋にPCをおいて、自由に遊んでもらうというようなことをしてきました。子どもたちは大人がいちいち使い方を説明しなくても、あっという間にPCを自由に使いこなせるようになります。
本当に素晴らしい能力をもっているな、と感じます。

ただ、これまでのPCはキーボードを使わないと入力できないので、アルファベットがわからない子どもたちには少しハードルが高く、マウスで遊ぶ程度のことしかできませんでした。それが、タブレット端末の登場によって、子どもたちが手でタッチするだけで直感的に入力や操作ができるようになりました。これはまさしく「革命」だと感じています。今後はタブレットを導入し、その利点を十分に活用しながら、子どもたちの活動の場を広げていきたいと思っています。
また、当社では保育士のIT活用も積極的に進めています。実は、保育業界で最初に社内グループウェアを導入した企業は当社だと言われているのですが、現在はこのグループウェアを活用して、スケジュール管理、シフト管理、保育士間での情報交換などを行なっています。
どの保育園にも昔は「カリスマ保育士」がいて、その先生が色々なスキルや知識を周りの先生に提供することができました。しかし、今は保育時間も保育の幅も非常に広がっており、1人の「カリスマ保育士」が全てに対応することが難しくなってしまいました。その代わりに、複数の先生がチームプレーで保育にあたる時代です。
そうなるとやはりITを活用しながら効率的に情報共有できることが大きなメリットとなります。業務を円滑に行うために、使えるツールはしっかりと使っていこうという考えでIT活用を進めています。
小林 照男 株式会社コビーアンドアソシエイツ代表取締役社長。社会福祉法人コビーソシオ理事長。1969年千葉県生まれ。ケンタッキーウェスレアン大学で会計学と経営学を学ぶ。卒業後、保育の世界へ。1996年に有限会社コビーアンドアソシエイツ設立。2000年に株式会社化し、2011年には社会福祉法人コビーソシオを設立。現在は、東京・千葉・埼玉を中心に認可園「コビープリスクール」および運営受託園を複数経営。著書に「感動の輪が広がる保育」(明石書店)がある。

また、プレジデント社刊行のビジネス書『プロフェッショナルサービスマン ― 世界に通じる「汗と涙のホスピタリティ」』では、『保育園業界トップクラスに躍り出た「革命児」の哲学』と題され、そのビジョンが興味深く紹介されている。

株式会社コビーアンドアソシエイツ オフィシャルWEB
どもたちが過ごす時間や空間に、「自然にITがある」という環境づくりを大切にしたい
-保育活動のなかにITを取り入れるうえで、大切にしていることはどんなことですか? 子どもたちが過ごす時間や空間に、「自然にITがある」という環境づくりを大切にしたいと思っています。「子どもたちの教育にITを活用する」というと、「読解力や数学力はどのくらい向上するのか?」というような短期的な効果を追求しがちですが、我々が狙いにしているのは決してそういうことではありません。
ITを身近な存在として提供することで、どんなデジタル機器にも抵抗なく触れられるようになること、楽しみながら自然とルールを考えたり、興味を高めたりしていけるようになることが重要だと考えています。
これからの子どもたちが豊かな人生を築いていく上での「強み」となるものについては、自然な成長の中で、しっかりと触れさせてあげたいな、という気持ちでいます。
-今後、タブレットを活用して取り組んでみたいと思われていることは何かありますか? 最近、子どもたちの能力開発が注目を浴び、語学や運動など様々なプログラムを組んで保育活動を行なっている園が増えて来ました。
当園も色々な活動を行なってはいるのですが、その一方で「もう一度『保育の基本』に立ち返る必要があるのではないか」と強く感じています。
能力開発ばかりに一生懸命になるよりも、まず礼儀やマナーを身につけること。
周りの人やものに対する感謝や尊敬の気持ちを持つこと。
こういうことを大切にしてこそ、子どもたちは洗練された大人へと育っていくのです。
タブレット端末は伝えたいことを効率的に伝えられるツールだと思うので、もう一度「子どもの豊かな成長にとって何が大切なのか」をまとめ、人間性や社会性を育てるような活動のなかでタブレット端末をうまく活用していけたら、と思っています。
また子どもの発達段階に合わせたオリジナル教材なども作れたらいいですね。今後タブレット端末を導入していくうえでは現場の保育士が中心となって、より楽しく効果的に活用できる方法を考えていってほしいという思いもあるので、保育士が「子どもを育てるプロ」として製作に携わり、自信と愛着をもって使っていけるような教材を作っていくことができたらいいな、と考えています。
どもに媚びない「本物の」サービスを開発し続けてほしい
-スマートエデュケーションのアプリには、どのような魅力を感じていらっしゃいますか? 実は私自身は一つひとつのアプリに対してというよりは、スマートエデュケーションという会社が目指している方向性に大きな魅力を感じています。もちろん、それぞれのアプリのクオリティや、本物にこだわってものづくりをされているという点も魅力的なのですが、ただ楽しいものを提供して満足するのではなく、大きな視点で「知育・教育×IT」というものを捉え、先頭に立って教育や知育、保育の革新を目指していこうという姿勢に大変強く共感しています。
今回の協同プロジェクト構想に関しても、このような長期的なビジョンをもってサービスに取り組んでいるからこそ生まれてきたものだと感じ、是非協力していきたいと思いました。
-今後のスマートエデュケーションに期待することは何かありますか? 「子どもに媚びないでほしい」というのが一番のお願いです。「こうすれば子どもが飛びつくだろう」というような安易な考えではなく、しっかりとしたポリシーをもってサービスを開発してほしいと思います。
当社も子どもたちを保育するにあたっては、「決して妥協しない」という姿勢を貫いています。「相手が子どもだからこれくらいでいいだろう」という考えでは、子どもに感動を与えることはできません。大人が本気で取り組んでいるからこそ、子どもたちも惹きつけられるのだと思います。是非、「子どもを子ども扱いしない」サービス、「子どもたちに本物の感動を与えられる」サービスを作り続けてほしいです。
編集後記
今、保育園運営をめぐっては待機児童の解消や幼保一体化など様々な問題が取り上げられています。
そんな中、徹底的に「保育の質」にこだわり、あらゆる努力と工夫を惜しまない小林代表の保育にかける情熱に、大きな感銘を受けました。
「保育の質」を追求し続ける『コビーさんの保育メソッド』×『スマートエデュケーションの技術とアイディア』のコラボレーションから一体なにが生まれてくるのか、今からとても楽しみです。
取材&文:大澤 香織 フリーランスライター。6歳男子+3歳男子の母。これまで塾や幼児教室の講師を経験するなど、「教育」に強い興味あり。絵本大好き&子どもと歌を歌うのが大好きで、家族そろってスマートエデュケーションの知育アプリのファン。
 
 

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