2013年2月4日公開
 
どもたちが愛着をもって遊べるデザインを追求
-最初に、みなさんのお仕事内容について教えてください。 増永:私は音楽系アプリのインターフェースデザイン全般を担当しています。塚田さんはイラストレーションの制作、田中さんがこれからリリースされるアプリのデザインを担当しています。
現在、「スマートエデュケーション」というブランドで色々なアプリが展開されていますが、スマートエデュケーションらしさをしっかりと伝えられるように、各アプリのデザインに統一感を持たせることを大切にしています。
イラストレーターも色々な方にお願いするとイメージがばらつくので、ロゴやアイコンなどユーザーの目に触れる重要な部分のイラストはすべて塚田さん1人が担当しています。
-オサムカンパニーさんがスマートエデュケーションのアプリに関わるようになったきっかけについて教えて下さい。 増永:スマートエデュケーションさんから「リズムえほん」のデザインコンペにお誘い頂いたのが、そもそものきっかけです。

池谷:ネットで偶然増永さんのキャラクターブログを見つけ、「子ども向けのスマートフォンアプリ」というテーマと相性が良さそうだったので声をかけさせて頂きました。
コンペの結果、オサムカンパニーさんにお願いしようと思った大きなポイントは2つありました。1つは楽器のイラストに「目」をつけたこと。「友達のように愛着をもって遊んでほしい」という思いから、楽器をキャラクターにして下さったのです。僕達には全くない視点だったので、とても良いなと思いました。

そして2つ目が楽器に「動き」をつけたこと。仕様書では楽器のデザインだけをお願いしていたのですが、増永さんからあがってきたデザインでは楽器がゆらゆら揺れていたんです。
「静止画では子どもがどこをタップしたらいいのかわからない」という増永さんの意見に、目から鱗が落ちる思いでした。最終的には色々なお母様方の意見を元に決定したのですが、増永さんのデザインが圧倒的に良かったですね。
最初から色々な質問をしてくれて、こちらのニーズを引き出そうとして下さったのもとても嬉しかったです。

増永:今「リズムえほん」に登場している楽器たちはみんな名前がついていて、性格もそれぞれ設定されているんです。アプリの世界観やストーリー性を大切にしたいな、と思っています。
増永 修 キャラクターデザイナー。株式会社オサムカンパニー 代表取締役。
日本と中国でオリジナルキャラクター作成事業やキャラクターのライセンス事業を展開。スマートフォンアプリの制作やWeb制作、グラフィックデザインなども手がける。
スマートエデュケーションではすべてのアプリのインターフェースデザインとイラストレーション制作を担当。
こんな子どもでした 子どもの頃の愛読書は「もぐらとずぼん」。改めて読んでみると、自分がキャラクターデザイナーになった原点はこの本にあったように思います。小学校低学年まではアウトドア派でしたが、ファミコンが登場してからはゲームにどっぷりハマり、そこから「ゲーマー」としての道を歩み始めました(笑)。憧れの職業はゲームデザイナー。小学生の頃からプログラミングをしてオリジナルゲームも作っていました。
塚田 裕美 イラストレーター。
スマートエデュケーションでは音楽アプリのイラスト制作やロゴ、アイコンのデザインなどを担当。
こんな子どもでした 子どもの頃に好きだった絵本は「百万回生きた猫」。大人になってから読むと「1回でも自分のやりたいことをやるのが幸せなんだ」ということに気がついて、改めて好きになりました。小さい頃から絵を描くのが大好きで、将来は漫画家かイラストレーターになりたいと思っていました。今はまだ道半ばなので、もっと頑張ってビッグになりたいです(笑)
田中 真也 デザイナー。
Webデザインを中心に活動。グラフィックや印刷物のデザインも手がける。スマートエデュケーションではこれからリリースされる新しいアプリのデザインを担当。
こんな子どもでした 外でサッカーや野球をすることも多かったですが、小さい頃から本当に絵が好きで家にいるときは大体絵を描いて過ごしていました。憧れの職業は漫画家。何でもいいから絵に関わる仕事をしたいとずっと思っていました。本は「怪傑ゾロリ」シリーズが大好きで、イラストを眺めて楽しんでいました。
切なのはアプリに触った時の心地よさやイラストの躍動感
-増永さんや田中さんはデザインされる上で、どんなこだわりをもっていらっしゃるのですか? 田中:「シンプルでわかりやすい」デザインを心がけています。デザインしようとし過ぎて余計なものをつけたり色を使い過ぎたりしてしないよう、常に客観的な目で見るようにしています。
今、絵本作家さんとコラボレーションしたアプリのデザインを行なっているのですが、作家さんの世界観が更に活き活きとするようなデザインを入れることにも気を遣っています。

増永:スマートフォンやタブレットアプリでは、「触って気持ちいいかどうか」が非常に重要だと感じています。僕はいわゆる「ゲーマー」で、これまでありとあらゆるゲームをやりこんできたのですが、面白いゲームとつまらないゲームの決定的な違いは「操作したときの感覚」にあるんです。
特に、スマートフォンやタブレットではボタンではなく平らな画面に触れて操作するので、操作した時にどれだけリアルな感触を得られるかというのが面白さにつながってくると思います。

池谷:ボタンをタップしてもボタン自身には何の変化もなく、画面だけがパッと切り替わるというようなアプリが実は沢山あるんですよね。当社のアプリでは、ボタンは必ず「押す前」と「押した後」という2枚の画像で構成しています。実際にボタンがへこむというわけではないのですが、押した感覚がかなりリアルに味わえるようになっています。

増永:Webの世界だとこういうのは割りと当たり前の世界なのですが、スマホアプリだとそこまでやっていないものが多いですね。処理する画像が増えるとプログラミングが大変になるので敬遠してしまうのかもしれないですが、ここは追求すべきところだと思います。押した時の音も大切ですね。

池谷:増永さんは音までつけてデザインしてくれますもんね(笑)。
-なるほど。確かに「リズムえほん」や「リズムタップ」で遊んでいると、水面をタッチしているような心地よさを感じる気がします。でも言われるまで全く意識していませんでした。 増永:むしろこの辺りはユーザーに意識されない方が良いと思っています。何も考えずに操作するなかでどこまで気持ちよさを感じてもらえるかがポイントですね。知らず知らずのうちに夢中にさせるような仕掛けを裏でどんどんやっていきたいと思います。

池谷:こういったこだわりがアプリの価値をすごく高めてくれているんですよね。もしこのデザインじゃなかったら、アプリがここまでヒットすることはなかったかもしれません。
増永さんは僕たちが持っていない視点で色々な提案をして下さるので、本当にありがたい存在です。
-塚田さんは、イラストを描かれる上で何か心がけていらっしゃることはありますか? 塚田:構図の取り方を大事にしています。平面的な絵ではなくて、絵の世界に入り込みやすいようなアングルにすること、勢いのある構図で描くことを常に意識しています。
真正面から見た2次元的なイラストも結構多いと思うのですが、実際の世界での物の見え方はそうではないですよね。手前のものは大きく見えて、奥の物は小さく見えるはずなので、イラストの世界でも同じように奥行きを感じられるようにしたいと思っています。

池谷:塚田さんの絵は躍動感があって、本当に動いているように見えるんですよね。この点が塚田さんの絵の一番の魅力だと思います。しかもラフもとても細かいんです。ラフの段階でほぼ完成形なのでわかりやすく、とても安心感があります。
-塚田さんは音楽アプリのほぼすべての楽曲で背景イラストを担当されているそうですが、これまでかなりの量を描かれてきたということですよね。アイディアがつきたりはしないのでしょうか? 塚田:「リズムえほん」では1曲を3枚のイラストで構成しているのですが、今150曲くらいリリースされているそうなので、全部合わせると450枚ほど描いてきたことになりますね。
そのほか、「リズムタップ」の背景や「おやこでスマほん」の絵本のイラストも描いていますが、特に今まで大変だと感じることはありませんでしたし、アイディアに困ることもありません。音源と歌詞を頂いてイメージをふくらませるところから始まるのですが、曲を聴くと自然とストーリーが湧いてくる感じです。たまに同じフレーズをひたすら繰り返す曲があったりすると、ちょっと大変ですけどね(笑)。

池谷:よくこれだけアイディアが湧いてくるな、といつも本当に感心してしまいます。
-今のお仕事のやりがいや魅力はどこにありますか? 増永:「子ども向け知育」というコンセプトにとても共感しているので、そういう分野に関わることができるのが一番の喜びです。
また自分が携わったアプリがランキングで1位を取っているというのも、大きなやりがいに繋がっています。いくら良いものが作れたと思っていても、結果が伴わないと寂しいですからね。リリースされた直後は1日に何度もランキングをチェックしていました(笑)

田中:同感です。ユーザーレビューで良いコメントをもらえたりすると、とても嬉しいです。自分がメインで携わっているアプリはこれからリリースされるので、どんな反応をしてもらえるのかが今から楽しみです。

塚田:私は甥っ子達が喜んで遊んでくれている姿を見ると、苦労して描いて良かったなと心から思います。たまに「これ私が描いたんだよ」と自慢しちゃいます(笑)。「すごい!」と言われるとテンションが上がります。
スマートエデュケーションさんとは一体感を感じながら仕事ができて、居心地が良いのも魅力です。通常はイラストを納品するとそこでおしまいになってしまうのですが、スマートエデュケーションさんはアプリがリリースされたら飲み会などを開催してくれて、様々な立場で制作に携わっていらっしゃる方とお会いすることができるので楽しいです。

増永:スマートエデュケーションさんの仕事は、これまで僕が経験してきた仕事とは全く違うスピード感で進んでいくので、いつも大きな刺激を受けています。「これは違う」と思ったら、開発が進んでいてもスパっと辞めて新しいことに方向転換する決断力とスピード感は本当に凄いと思います。自分もそうじゃなくちゃいけないな、と思いますね。アプリの世界で終わらせるのではなく、幼稚園など実際の教育現場にしっかりと導入していこうという姿勢も素晴らしいと思います。
どもたちに愛されるキャラクターを育てていきたい
-今後何か挑戦してみたいことはありますか? 塚田:私は子どもと一緒に絵を描くお絵かきイベントとかやってみたいですね。普段アプリで遊んでくれている子どもたちと実際に触れあうことができたら最高ですね。楽器くんを一緒に描いて遊んだりしたいです。

田中:僕は今デザイナーとして仕事をしていますが、実は絵が得意でイラストも描けるので、増永さんや塚田さんのようにキャラクターやイラストを描いて、何か自分の作品と呼べるようなサービスを作ることができたら嬉しいです。

増永:僕達3人ともそれぞれイラストのテイストが違うので、それぞれの良さを活かして貢献できたらいいですよね。僕もキャラクターデザイナーなので、やはりキャラクターを生かして子どもたちをどんどん魅了していけるような取り組みに挑戦できたらいいなと思っています。スマートエデュケーションさんは新しいアプリを続々とリリースされているので、そのプラットフォーム上で僕達のキャラクターを展開させてもらえると有難いです(笑)

池谷:増永さんがデザインして下さったゴリラの「ウッホイ」というキャラクターは、既に色々なアプリに登場していますよね。僕自身も「スマートエデュケーションのアイコンとして育ってくれるようなキャラクターが欲しい」という思いで制作をお願いしました。キャラクターは認知度が大切なので、色々なアプリで露出して、認知度が高まったらリアルも含めて多面的に展開していきたいと思っています。

増永:そうなると本当に嬉しいですね。是非よろしくお願いします!
編集後記
今回お話を伺って、オサムカンパニーさんのクリエイティビティとデザイン力、そして技術力がスマートエデュケーションの大きな武器となっていることを感じました。取材の後、改めてアプリをよく観察してみましたが、イラストにもボタンなどのデザインも色々な工夫や仕掛けが施されていて、見れば見るほど奥の深いデザインだなと感じました。遊ぶ度に新鮮な発見ができるというのが、スマートエデュケーションのアプリの最大の魅力かもしれません。これから登場する新しいデザイン、そして新しいキャラクター達もとても楽しみです!
取材&文:大澤 香織 フリーランスライター。6歳男子+3歳男子の母。これまで塾や幼児教室の講師を経験するなど、「教育」に強い興味あり。絵本大好き&子どもと歌を歌うのが大好きで、家族そろってスマートエデュケーションの知育アプリのファン。
 
 

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